2012年3月11日日曜日

打掛を脱いだら蝶々になっていた!?

・・・と会場でえらく感動していた人達がいたとのこと・・・

一瞬、???と思ったが、なるほど。客席からはそう云う風に見えたのか。狙って演出したわけではなかったのだけど、そう感じてくれた方の感受性も素晴らしい。

昨日3月10日(土)北九州芸術劇場大ホールにて「ヴェリズモオペラの魅力」オペラガラ・コンサートが行われました。無事終了。多くのお客さまの嬉しい言葉を頂戴しました、ありがとうございました!

楽屋前↓























私の出演した一曲目は、人生二度目のプログラム一番 初っ端~!
初っ端もトリも同じくらいのストレスで、どちらもかなりしんどいものだが、やっぱり始めは責任感じるな~。

結構舞台からはいい感じに客席は埋まっていたように見えた。

さぁ、お客さんの立場になって考えてみよう。開演のブザーが鳴る、自分がもし、客席に座っていたら・・・

(そうね、歌い手の心境なんかどうでもいい、今から始まるこのコンサートに期待を寄せて、音楽に浸る心の準備をするはずだ。)

それに応えたい。そう思って舞台の上に立った。

ドレスは「観客のみなさまを今から現実とは少し離れた世界へと誘えるように~」という思いから、淡い色合いで、大き目のパ二エを入れるドレスにした。

出演前5分。楽屋にて、撮影中、舞台監督さんからマイクで楽屋呼び出しが^^;























「え~開演5分前、白川さん舞台袖にスタンバイしてください。」

はい、は~い・・・

わくわくして、観にきて下さった一階席の前から10列目ぐらいまでの人達。目がきらきらしているのがよく分かる。

中央から奥、二階席へと目をやり、暗くてよく見えない3階席まで見あげた時、レオナルド・マルツァガリア氏のピアノの音が響く・・・

それでは、私は遠くへまいらねばなりません・・・♪
カタラーニ作曲:オペラ「ワリ―」より~さようなら、故郷の家よ。

これは美しい曲なのに、歌っている本人はというとかなりしんどいのです。アリアの最後の方は、これでもかこれでもかという波がおそってくる。ブレスのコントロールが大切な曲。

リハーサルの時に見えた客席のスモールライトが本番は消えていて残念だった、アレすごくきれいだったのにな・・・

そして、無事ガラ・コンサートが幕開けとなる。

プログラムはヴェリズモというだけあって、なかなか濃いものでした。
詳しいプログラムは音楽愛好家の方が細かい感想を述べてくださっていますのでまた後日ここに追加掲載したいと思います。

休憩がはいります。ワインサービスがロビーにでて、主人はさっそく、いや、噂によると始まる前からすでに注文して?係りの方もまだ準備していなかったらしく、慌ててグラスワインを運んで来てくださったとか。

しっかりひっかけて客席入りしたそうです。

さぁぁぁぁて、休憩後のバタフライの二重唱なんだけど、これがいろいろ最後まで考えがまとまらず。ていうのは、「姿格好・・・」

着物?ドレス?打掛け?くつは?・・・髪は結いたくない・・・
う~~~ん。。。オペラなら演出家の考え通りにヘアメイク、スタイリストさんがいらっしゃるし、何の問題のないし、蝶々夫人のアリア、もそう問題ではない。

どうも気になるこの「愛の二重唱」

ヘアースタイル!どうするよ~!

やさしい感じとほんわり甘いムード、蝶々さんのピンカートンに対する燃えるような愛を映し出すように。

ガラコンサートだから現代的にドレスと打掛で行くことに決める。靴はゴールドのヒール。一応見えないように歩くつもり。

打掛が問題。ヒールで何度も裏地をひっかけて破ってしまった。自前でよかった・・・

裾捌きを注意される、う~んやっぱり・・・。

ひな段に絨毯が貼られているので着物が思うように滑ってくれない。絨毯に着物が引っ張られる・・・

持ちあげないと動けない!


しかし!歌いながら、よっこらしょ~~~~っと持ちあげるわけにもいかない。
何せ重いもんで・・・

本番前、あらかじめピンカートンを歌ってくれる藤田君(テノール・藤田卓也)と歌詞と動きを確認する。
結果、しばらく私は打掛を手で持ったまま歌い、動く時も持ったまま。

着物を手から離す箇所で、大きく移動、と決める。

そして本番。

藤田君、今までしたことない箇所で両手を開いて私を誘う。ではないか。

おっと、まだ着物、離したくないぞ?こんなに早く離したらあと動きにくいじゃん。
でも素敵に両手を開いてカモン~状態になっているピンカートン。

うぅぅぅ、答えなければ女がすたる?(笑)この場に及んで何を考えている?蝶々さんに集中しなさい!わたし!なんて思いながら(笑)手を着物から思いっきり離す。ピンカートンの手をとって、見つめ合いながらのフレーズ。

その後は着物の裾が脚にまとわりつく、、、絨毯にひっかっかって、ぐるぐるもごもご、なっている・・・
仕方ない重いな~と思いながら着物のたもとを一生懸命開いて動く。あ~あ、後でビデオ観るのが怖い^^;

そして、最後、Hight C でのフェルマータが終わった後の美しい後奏で、ピンカートンに打掛を脱がされ寝室へと二人で歩いていくシーン。その時に細身の白いドレスに薄い白いショールを掛けて、着物の下に来ている長襦袢にみたてる、という演出具合にした。

なんと、それが客席からはショールが両手にちょうどついているので蝶々のように見えた、そうだ。
はぁ~~~なるほど~

「打掛を脱いだら蝶々になっていたね~凄い演出だったね~」

と感動していたそうな。

ありがとうございました。字幕スーパーの方の素敵な訳にもよって、そんなファンタジーが生まれたのだと思います。

藤田君、声だけでなく、人間性、信頼性、すべてにおいて紳士。思いっきり女性を惹きつけ、そのくせあっさりしている、とでもいいましょうか。基本、やっぱり(?)完璧なテノールキャラクター!























これが着物下のドレス。一緒に写っている方は私の両サイドは福岡の音楽愛好家夫妻、
藤田卓也さん、別府真也さん。
















先程、伴奏のマルツァガリア氏からのドイツ語でのメッセージをいただきました。
彼のかたことドイツ語は私のイタリア語なんかよりはるかにレベルが高いので私と氏とはイタリア語とドイツ語で会話されます。

私が話すドイツ語にイタリア語で答えられるので、私はそれをまたドイツ語で。そうこうしていると行き詰まり(当然ですが)英語になっていきます。私の英語力を見透かしているのか、英語は中学校レベルで話してくれますのでほとんど理解できます。だったら初めから英語で話せば?ですね?・・・^^;

以下、マルツァガリア氏より、

Sie haben sehr schon gesang! Viel voll!  -Leonardo Marzagalia
(素晴らしい歌だったよ!とっても!) -レオナルド マルツァガリア


















打ち上げは夜10時前に始まり、、、終わったのは深夜12時でした。


















ゆっくり朝寝坊する暇もなく、翌朝(今日)は自宅レッスンでした。

以下、音楽愛好家のK氏が公開されているコンサートの感想をご参考までに追加させていただきます。ご感想をこのように詳細に伝えてくださることは我々にとって非常に大切なことです。

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昨日、北九州芸術劇場大ホールで行われた「イタリア ヴェリズモオペラの魅力」(主催:北九州シティオペラ)の第2回オペラ・ガラコンサートを聴きに行って来ました。

プログラムは第1部が、カタラーニの歌劇 「ワリー」より“さようなら、故郷の家よ”、チレアの歌劇「アドリアーナ・ルクブルール」より“苦い喜び、甘い責め苦”、ジョルダーノの歌劇「アンドレ ア・シェニエ」より“国を裏切る者”、“亡くなった母を”、レオンカヴァッロの歌劇「道化師」より“ネッダとシルビィオの二重唱”、マスカーニの歌劇「カ ヴァレリア・ルスティカーナ」より“ママも知る通り”、“母さん、このお酒は強いね”、合唱「アレルヤ」でした。

~省略~

特に、レオンカヴァッロの歌劇「道化師」より“ネッダとシルビィオの二重唱”でネッダと演じた江崎桃子さんとシルビィオを演じた別府真也さんの歌唱が素晴 らしく迫真的な演技でした。又、マスカーニの歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」“母さん、このお酒は強いね”でトゥリッドを演じた藤田卓也さん(私の 高校の後輩)の朗々とした声が素晴らしく、感情も生々しく表出されており圧倒されたような感動を覚えました。

~省略~

第2部は全てプッチーニの歌劇「ラ・ボエーム」,「西部の娘」,「蝶々夫人」,「外套」,「トスカ」からの名場面でしたが、この中では、「ラ・ボエーム」 の第3幕で歌われるロドルフォとミミ,マルチェッロとムゼッタの四重唱がそれぞれの心情やキャラクターを個性的に演じていました。

又、「蝶々夫人」の第1 幕で歌われる“愛の二重唱”は、蝶々さんを演じる白川深雪さんとピンカートンを演じる藤田卓也さんが実に見事でした。(今日の演奏会の中で最高でした)そ の他では、「外套」より“どうしてもう愛してくれないんだ”を演じた党夫妻の歌唱が感動的でした。「トスカ」では、トスカ役の宮崎希世子さん,カバラ ドゥッシ役の森岡謙一さんの二重唱が好演でした。

総じて歌手陣はレヴェルが高く、又、ピアノ伴奏のレオナルド・マルツァガリア氏が素晴らしい伴奏で歌手を引き立てていたことは言うまでもありません。今後 も是非、こうしたオペラ・ガラコンサートを続けて欲しいものです。欲を言えばオーケストラの伴奏でして頂きたいものです。

以上です。